プライム ライフ テクノロジーズ

Vol.03

まちづくりの成功は官民連携の座組みにかかっている

こんにちは。株式会社plan-Aの相澤です。
前職のディベロッパーにおいて開発事業を中心にまちづくりプロジェクトに多数携わり、現在も横浜など複数の地域でまちづくり活動を推進しています。それらの経験を基に、まちづくりについて第三者の視点でコラムを書かせていただきます。

駅前の再開発も「まちづくり」の活動

地方都市に限らず、日本国内の「駅前」の風景は、そのまちの「顔」であり「性格を表す」と言っても過言ではないと思います。各地の駅前も、時代の流れと共にリニューアルするところも増えてきています。

その駅前の風景、どこもかしこも「同じ風景」になってきていると感じませんか? 低層階に商業フロア、その上にホテル、そしてその上にオフィス、という構造のビルが駅前に建つイメージ、想像に難しくありませんよね。

もちろん、それが経済合理性や本当に必要とされている地域などもあるかと思いますので否定はしませんが、その地域において本当にそれが必要かどうか、そしてそれが地域経済活性化に寄与するのか、を「コピー&ペースト」ではなく真剣に考えなければならないのでは、と思うのです。

駅前再開発も、もちろん「まちづくり」の活動であると考えています。

それだけに、平面(2D)でまちを見るのではなく、やはりその地域のデータの収集・理解や人の動きの可視化、そして歴史や変化の経緯が存在するのかなどを把握し、その上で人の営みを現場でしっかり体感し、それを大きな方針策定に反映させていくという、いわば「空中戦と地上戦」の双方を行ったり来たりする必要があります。それらの積み重ねが「駅前をどこにでもある風景にしない」ことに繋げられるのではないかと。

とはいえ、いきなりそんなこと言われても難しいですよね・・・・わかります。

そんな方の為に、今回は全国数多ある官民連携プロジェクトの中から、まだ現場は未完成であるものの様々な取り組みのバランスが良い沼津市における事例をご紹介できればと思います。

沼津市のまちづくりにおける官民連携の座組みとは

沼津駅南口に独立行政法人都市再生機構(以下、UR都市機構)が保有する敷地(西武百貨店跡地)を活用し、沼津市、UR都市機構、民間の事業パートナーの3者が連携し、新たな賑わい拠点を整備する事業です。

沼津駅周辺をヒト中心の魅力ある空間に再編することを目的として、西武百貨店跡地に「拠点施設」及び「広場部」を組み合わせた賑わい拠点を整備します。

「拠点施設」は、飲食・物販等の「店舗部」と、誰でも利用できるトイレやまちづくり活動の拠点となる「地域貢献部」で構成され、緑が豊富で開放的かつ複数の機能を併せ持つ「広場部」と合わせて、沼津駅周辺に多くの市民や来街者が集い、滞在し、交流する駅前空間を創出します。(沼津市記者発表より)

位置図(沼津市記者発表資料より) 
 配置図(沼津市記者発表資料より)

この事例における特筆すべきポイントのひとつとして、実施体制のバランスが優れていることがあると感じました。

沼津市、UR都市機構、そして民間の事業パートナーである株式会社フィル・カンパニー(事業パートナー代表、店舗部の統括 等)、株式会社フィル・コンストラクション(拠点施設の設計監理 等)、株式会社ブルースタジオ(広場の設計・コンセプト監修 等)、加和太建設株式会社(まちづくり活動・地域連携 等)という座組み。それぞれの特性と強みをしっかりバランスさせています。

ここで重要なのは、西武百貨店跡地をUR都市機構が取得したところと、そのUR都市機構が「ただの地主」として存在しているのではなく、まちづくり計画策定の支援や、沼津のまちにおいてまちづくり活動に積極的に関わっていることです。

そして沼津市の内部だけでなく、しっかりと外部知見を入れていく実施体制を組んだことも事業バランスとして素晴らしいと思っています。この事業は沼津の駅前の風景を変えていく、そして日本の官民連携にとっての大きなターニングポイントになるのではと感じられ、現場の完成と、そこから生み出される新たな活動から目が離せません。

整備イメージ・鳥瞰パース(沼津市記者発表資料より)
視認性と動線のプラン(株式会社株式会社フィル・カンパニープレスリリースより)

自分たちのまちを、自分たちでなんとかしなければならない!という想いは誰しも同じだと思います。ですが、自分たちだけではない第三者の客観的な視点やスキルなども敢えて盛り込んでいくことで、今まで見えてこなかった新たな価値に気づき、その魅力を高めていけるのだと考えます。勇気を出して、外部の人たちに助けを求めるという選択肢を持つことも大切なまちづくりの要素であると考えます。

プロフィール
相澤 毅(あいざわ つよし)

株式会社plan-A代表取締役、合同会社plan-A TOYAMA代表社員。Project Designer、Innovation Booster。大手生活ブランド勤務を経てから前職ではデベロッパーにて社長室に所属し不動産開発から海外事業におけるスキーム構築・広報PR・販売戦略・広告クリエイティブ・ブランディング・新規事業企画・商品開発・人材育成制度構築・産学連携など手がけてきたが、2018年5月に独立起業。今は不動産事業者や大手家電メーカーのコンサル、企業の事業開発参画、不動産開発事業、場のプロデュース、拠点運営、自治体とのまちづくりや創業支援、企業の取締役や顧問、NPO法人の理事等を手がけ、多様な働き方を実践している。

お問い合わせ
CONTACT
資料ダウンロード・
動画閲覧
DOCUMENTS&VIDEOS
社会課題解決事例
CASE STUDY
会社情報
COMPANY