プライム ライフ テクノロジーズ

vol.05

雑談から始まる公民連携まちづくりの壮大な実験 その積み重ねが熱海の奇跡をつくった(前編)

株式会社plan-Aの相澤 毅がお届けする「PLTまちづくるコラム」。まちづくる最前線を走る人々を訪ね、ともにまちを歩き、インタビューをするなかで、これからの不動産開発や、官民連携、まちづくりについて解き明かしていきます。

対談企画の第一弾は、「奇跡の復活劇」として一躍注目を浴びた静岡県熱海市で「マチモリ不動産」を立ち上げ、熱海のまちと不動産を通して、自由な住まい方、働き方を提案し続けてきた三好 明さんです。マンション管理の専門性を活かし、遊休不動産のリノベーションにとどまらず、二拠点生活や働き方の提案まで幅広く手掛け、単体の不動産のみならずエリア価値の向上を目指した「ローカルデベロッパー」として挑戦を続けています。

マンション管理の仕事を通して、不動産の価値向上をミッションにサラリーマンとして働いていた三好さんが熱海市に関わり始めた2012年、熱海市は「どん底」時代だったと言われています。高度経済成長期に年間500万人以上いた観光客は2011年には250万人以下に落ち込み、企業の保養所の閉鎖やホテルの廃業が相次ぎ、中心商店街はシャッター街に変貌していました。

しかし、2010年代の熱海では、リノベーションによる不動産の利活用や、コワーキング、ローカルマルシェなどを民間主導でリードしてきた若者たちの力によって、まちに変化が起こり始めます。

変化に対する軋轢も、地道な実験と対話によって乗り越え、「奇跡の復活」と呼ばれるほどに観光客や移住者が増加した熱海。東京から新幹線で1時間以内という距離感も手伝い、中心商店街には若者が行き交い、ホテルやゲストハウスの建設ラッシュ、地価の上昇と、熱海は今、「地方創生」のトップランナーとして注目を集めています。

前編では、三好さんが熱海に移住する前、会社員時代にボランティアとして関わっていた熱海をどのように見ていたのか、同世代の若者たちとどのような課題意識を持ち、不動産活用のアプローチを続け、熱海市との公民連携を進める中で、何を提案し、変化を起こしていったのかを対談を通して明らかにします。

【プロフィール】

三好 明(みよし あきら)
株式会社マチモリ不動産代表取締役。不動産プロデュース業、サブリース業、賃貸管理業、買取再販業、不動産仲介業を手がける。東京都出身、大学在学中にNPO法人ETIC.でのインターンシップを経験。大学卒業後、大和ライフネクスト株式会社(現)で13年間マンション管理に従事。2012年、株式会社machimoriに参画し、リノベーションまちづくりや熱海市の公民連携事業を手掛ける。2017年、熱海市に移住。株式会社machimori取締役として不動産利活用部門を統括し、2019年に株式会社マチモリ不動産を設立。

熱海は地域再生の実験場。日本の課題の縮図

東京で生まれ、マンション管理会社で働いていた三好さんは防火帯建築の長屋と出会ったことから熱海に興味を持つようになりました。

相澤 今日は久しぶりに熱海を訪れ、釜鶴さんでお昼ごはんを食べて、熱海の風を感じて幸せな気分です。三好さんとは熱海におけるリノベーションまちづくりからのお付き合いですが、官民連携のさまざまな事例を紹介していただくなど、お世話になってきました。

「PLTまちづくるコラム」では、ローカルベースでの実践に基づいた官民連携事例を紹介したいと思っています。「課題先進地」といわれてきた熱海にはどのような課題があり、どう変遷してきたのでしょうか。また、三好さんが熱海に何を感じ、どう評価して、どのように官民連携を手がけてきたのかを前編ではお聞きしたいと思います。

そもそも、三好さんが熱海に関わるきっかけと、「どん底」と言われていた熱海の何に魅力を感じて、ご自身が移住して起業するまでになったのか、最初の入口についてお聞きできますか?

三好 最初にパーソナルな話からすると、私は東京都立川市出身で、そもそも熱海生まれでも熱海育ちでもありません。そんな私がなぜ熱海とここまで関わるようになったのか。一言でいうと、熱海が「私にとっての実験場として最適だった」ということに尽きます。私は大学卒業後、偶然、マンションの管理会社で働くことになりました。マンションの管理会社のミッションは資産価値の維持・向上で、私は分譲マンションの管理を担当しており、マンションに起きるありとあらゆる課題に向き合う日々でした。

日本のマンションの平均築年数は27年と言われています。私が初めて熱海に来た2012年ごろは、建物の寿命は鉄筋コンクリートで60年ぐらいと言われていました。大手マンション管理会社では、建物が古くなると管理に手間もかかり収益性も下がるので、収益の高い新しいマンションばかりを管理していく傾向にあり、人間が等しく歳をとるように建物も等しく歳をとる、その管理運営をどうしていくのかという「二つの老い」に直面していました。

私は当時、いわゆるサラリーマン生活を送る中で、30代に入って「人生このままでいいのかな」と悩んでいた時でした。そんなときに私と同世代のNPO法人atamistaの代表に、熱海でリノベーションまちづくりをしていて、不動産の専門家を探していると言われたのです。

初めて熱海のまちを見て歩いたなかで、いちばん私が面白いなと思ったのが、6〜7棟が長屋になってくっついて鉄筋コンクリートで覆うという、独自の形態の建物がいくつも残っていたことです。昭和25年に熱海大火が起き、木造住宅の密集地で火事が起こるとどんどん燃え広がることから、鉄筋コンクリート造で防火帯をつくり燃え広がりを止めようという流れになりました。公園や公共空間で建物を挟んでいくという法律が複数でき、昭和30年前後に防火帯建築の長屋が広がっていったんです。

昭和20年代後半に建築された建物は、今では築70年になっています。日本では築年数の寿命が60年と聞いているのに、これはどういうことだ、という疑問が私の中で生まれました。実際、配管や配線も危ないし、漏水も起きていますが、でもしっかりと建物はまだ存在し、中身をリノベーションしたらまだまだ使えるという実物がここにある、と思いました。区分所有法は昭和37年に成立していますが、それより前につくられた建物を将来どうするのかはマンションの課題そのものではないかと考えました。その答えは誰も持っていなかったんです

当時の熱海は、日中のまちなかを誰も歩いていない、建物の家賃がたとえ1円でも借りたい人がいない、という状態でした。熱海銀座商店街にある33店舗のうち10軒が空き店舗で、絶望しかないという状態の中では当然投資も入りません。そんな熱海をどうしていくのか? ――言葉を選ばずに言えば、ゾクゾクしたんです。楽しみ半分怖いもの見たさ半分で、この熱海を再生するのに関われたら日本の事例として最初だな、と感じました。それも1戸や2戸という話ではなく、群として、面としてある課題なのです

リノベーションまちづくりとは「使い方の発明」

マンション管理の視点から熱海に関わり始めた三好さんは、やがてまちの価値が上がらないと不動産資産の価値も上がらないことを理解します。

相澤 防火帯建築から熱海のまちづくりに入る、というのがいかにも三好さんらしいというか。マンション管理をやっていたからこその視点ですね。

三好 私はマンション管理のプロとして、いずれ日本の将来にやってくる課題をどうするのかという実験場として熱海を見ています。正直、まちづくりには興味がなかったです。職業的にたまたま出会ったマンション管理というスキルを突き詰めた結果、最先端のことにふれられるチャンスがあるならば、かつ築年数の平均寿命のその先、20〜30年を見られるのならば、そこに人生を賭けようと。それが私のすべてで、まちづくりは手段でしかありません。それがなおさら熱海のために役立つ、日本の課題のために役立つのならもってこいじゃないかと思って、熱海に関わり始めました。

当初5年間は会社員をしながら熱海に通い、ボランティアで関わっていました。面白半分でやっていたので、マンション管理の仕事を辞める気はありませんでした。マンション管理会社はその建物や部屋の資産価値の維持・向上がミッションです。一方で、熱海で取り組んでいた「リノベーションまちづくり」の観点で言うと、1部屋や1棟の価値向上ではなく、まちの価値が上がらないといけないということを学びました。その価値観を知った時にはショックを受け、次世代のマンション管理の手法になるはずだとピンときました。ハード的な管理ではなく、ソフト面でどう使うのか。リノベーションまちづくりは、使い方の発明をやり続けることだと思います。私の人生が変わり始めました。

私にとってのパーソナルな課題としての熱海は、鉄筋コンクリート式長屋をどうするのか?という切り口でしたが、でも実は昭和30年代の防火帯建築は日本各地に結構あることがわかっていて、普遍性のある課題でもあると感じています。私のミッションは、熱海を事例として、全国の鉄筋コンクリート式長屋の共通課題をどう解決していくのかということです。将来的にマチモリ不動産はローカルデベロッパーになろうと考えています。熱海でまちづくりを頑張って、全国的に商店街が朽ちていくところにうちが出資したりして、熱海のノウハウを他地域に落としながら、将来的には地域間循環をしていこうと考えています。

一自治体でのまちづくりではなく、東京経済圏として捉えるとスケールが大きくなる

熱海のリノベーションまちづくりに取り組むようになった三好さん。税収など熱海のローカルな課題を解決するためには首都圏まで含めた広域の視点が実は重要と考えるようになりました。

相澤 熱海のまちづくりでは、大きなデベロッパーが入ってくるわけではなく、三好さんたちのようなプライベートカンパニーが引っ張っているのが特徴的ですね。三好さんは不動産単体ではなくエリア全体の価値向上が重要だといつもおっしゃっていて、2010年代に熱海で始まったリノベーションまちづくりは二拠点居住や移住者の増加にも貢献し、その結果、熱海全体の地価上昇にもつながっています。2006年に「財政危機宣言」が出されたことを考えると、10年でものすごいV字回復になっています。現在では熱海銀座あたりでは、新店舗の出店が難しくなるほどに賃料が上がっているとも聞きます。熱海ではどのように地域の価値向上に取り組んできたのでしょうか?

三好 熱海市の税収のうち、自主財源の6割が固定資産税で、2割が住民税です。そのトップ2つの税収がなくなるとまちとして持続可能ではなくなります。人口が減り産業が衰退していく中で、その2つをどう確保し続けていけばいいのか。

固定資産税は土地と建物に分かれています。土地の価値が上がれば固定資産税が上がり、建物に投資がされれば価値が上がります。熱海の全ての土地の資産価値は上がらないが、中心市街地エリアは投資や再生をすると土地の価値が上がっていくはずだとターゲットをしぼるのがコンパクトシティの考えです。歳出削減ではなく、どう固定資産税を上げるのかまで考えないと、熱海のような固定資産税の割合の高いまちの本質的な課題解決にはなりません

建物の価値を上げるには新築だけではなく、リノベーションが手法として効果的です。中心市街地の建物をリノベーションで使い方を発明し、エリアを広げていくことが熱海の課題には大事ではなかろうかという視点を持つようになりました。いずれにせよ人口減の社会で、住む場所をしぼって中心市街地の人口を増やしていけばいいのではないか。一方で、中心部でないところはゼロエネルギーハウスを増やしてインフラは行かないが自立するように促す。そういった住み分けをしていけば、建物の投資が広がるわけです。

さらに税収を増やしていくには、法人住民税、個人住民税をどう増やしていくかという手法を検討しなければなりません。住民税ならば所得の高い人をどう増やすかを考える。移住も一つの手段ですが、付加価値の高い産業を作り出して給与の高い仕事をつくるというシナリオもあります。また、別荘暮らしの人たちが住みやすい賃貸モデルで税収を増やすこともできます。準住民みたいな人が何度も熱海に来て消費することで経済活性化を促すことや、熱海で法人登記することもあり得ます。

日本全体での最適化を考えると、熱海は経済圏として、むしろ東京の郊外ではないかという視点が出てきます。熱海をどうするのかという自治体レベルでの捉え方をせず、経済圏や人の行動から見て東京の人たちのライフスタイルやワークスタイルをどう豊かにできるか。東京では巨大すぎて高すぎるものを、熱海でなら小さくやれるのではないかなど、首都圏に暮らす方に熱海を使ってもらうという視点が出てくるようになります。

相澤 なるほど。熱海市の財政を熱海市単体で考えるのではなく、むしろ東京経済圏として捉えて、働く拠点の可能性を拡大し、不動産価値の向上のみならず、法人・個人の税収増というところまで踏み込んでリノベーションまちづくりに取り組んでいったのですね。

公共施設の指定管理で既存政策の矛盾を打破

リノベーションまちづくりの視点から熱海の税収について考えるようになった三好さんは、しだいに公共施設の管理コスト削減、ひいては行政のプロセスにも関わるようになっていきます。

相澤 三好さんは不動産管理の専門家として、熱海市のパブリックセクターと関わって、実際にいくつかの指定管理を手がけて、公共施設の財政再建にも貢献しています。それをボランティアでやっていたというのには驚きです。

三好 2012年から2017年まで、ボランティアで熱海に関わっていた時代は、まさに「熱海市には建物管理ができる人がいない」状態でした。最初私は公園の指定管理をやっていたのですが、そこにはテニスコートが5面あり、無計画にツギハギ状態で修理をしていく状態でした。

本来は長期修繕計画に基づいて1年ごとに計画立てて修繕をしていくと、最終的には管理コストを削減できるようになります。マンション管理で置き換えると、一般会計ではなく、長期修繕計画に基づく積立金会計をつくって、毎月管理組合でオーナー報告をして検討するのは当然ですが、公共施設ではそれもなされていない。行政に積立金会計という概念がなく、これでは公園の経営が破綻してしまいます。それで「公共施設白書を作る方がよくないか」と行政に提案したところ、予算を取ってくれて、他の公共施設でも私の提案が政策に生きるようになってきて、自分のマンション管理というスキルが案外役立つことに気づきました。それが本業の営業成績にも生きてきて、仕事がどんどん楽しくなっていきました。

最初は施設管理をするなかで、消防用設備電源で年に2回の法定点検の見積額がとても高いことに気がつきました。点検の仕様に無駄が多く、浄化槽の点検が年36回というのにも驚きました。10カ所のトイレに対して明らかにオーバースペックの点検回数で、利用が多いところに集中すべきだと提案しました。植木の管理についても、植木屋さんに任せきりにせず、それよりも人が遊ぶ芝に手を入れるなど、年間緑地計画を立ててどこでどうお金を使うのかを設計するなど、費用の一つひとつにメスを入れて、協力事業者を半分カットしていった。相見積もりをとるのは東京では当たり前のことです。今はそんなことはできないですが、当時は人間関係を度外視して対応していたので(笑)、年間で200〜300万円くらいのコスト削減が実現できたのです。

次に、収入を上げるにはどうしたらいいのか、補助金を入れなくても施設運営ができるんじゃないか?という挑戦をしました。公園に指定管理料という名の補助金を年間2400万円入れていることに対して、人を宿泊させたり、バーベキューやドッグランを組み合わて何かしらの収入源を入れれば、月200万円の収益を上げられ自立できるはずだ、と提案したのです。そのために、やってはいけないことを整理する必要があり、人が泊まれるようにしたら何にどのような問題が生まれるのかを実験させてほしいと提案しました。

この時期の私を総括すると、公共施設の指定管理を通じて、無駄なコストを省き自主財源を生み出して財政再建をしていく実験をしていたのだと思います。それをやらない行政が悪いのではなく、なんでできないのかを知って、例えば議会で承認されないのであれば誰に話を持っていけばいいのを明らかにして、民間の僕からも話してみる。物事が促進されるような議論の場をつくっていくのに5年を費やしました。

小さな実験を可能にする「雑談会議」

公民連携でまちづくりを有効に進めるためには「議事録をとらない会議」が大事、と三好さんは言います。

相澤 しかし、行政は立場上、物事を動かすにはなかなか腰が重く、忸怩(じくじ)たる思いをしたこともあるのではないでしょうか? 「公民連携でのまちづくり」といっても、行政の仕組みやしきたりを変えることが困難ななかで、熱海では民間の熱量が行政を巻き込みながら、うまく地域再生につながっていった印象があります。実際、どのように行政と協働していったのか、秘訣のようなものはありますか?

三好 machimoriの仲間とは、熱海銀座商店街でマルシェをやりました。単に銀座通りの通行量を増やすだけでなく、道路そのものを公共空間としてどう活かすかの実験場でもありました。熱海は公共空間や公園が圧倒的に少ないため、道路活用によりエリアに対する付加価値をつけることに取り組みました。ヨーロッパでは、道路は車のためではなく人のためのもので、ウォーカブルシティという考え方が普及しています。

私が行政の方とふれあいながら気づいたのは、結論で言うと、仕事ではない「議事録をとらない会議」をいかにするのかが非常に大事だということです(笑)。公共性の高い仕事をしている人たちは責任の強い仕事をしているので下手なことが言えないんです。そうするとセクショナリズムが起きて、自分が言える権限の中で安全なことだけを言うしやるし、という構造になってしまいます。プライベートな人ほどパブリックマインドを持ち、パブリックな人ほどプライベートな動きをいかにするかということを考えるならば、「ぶっちゃけ、個人的に、どうしたらいいと思う?」「実は……」という雑談が本当は必要です。

今の時代では、ワンプロブロムレム、ワンソリューションでは無理なほど、複雑に問題は絡み合っています。民間と公共の間の財団法人、特殊法人などもつくられますが、それぞれでやっていてつながりがないのが実情です。民間も行政も学術も、バラバラではなく集合して飲みながら「どうよ」「本当はこうなんすよね〜」みたいな非公開なところで語り合って、立場を取り払って、プライベートな時間を使って実験してみるというのが今の時代こそ大切なんじゃないかなと思うんです。まさにそれって、海と川の間みたいな余白、昔でいえば入会地みたいなもので。立場を変えた時間、立場を解放して「本当はどうしたいのか」を話せる土壌や環境がいかにあるかが大切です。

なんでもいきなり予算をつけられるわけではないので、そうした非公式な実験があって、形になりそうならパブリックに課題をあげることができれば、ゴールが見えやすい状態で始められるんです。まさに日本っぽく、下話をして持っていくみたいなことができる自治体が課題を解決できるのではないかと思います。実はだいたいみんな答えを持っているんです。完全にセクショナリズムに陥っているのは行政だけでなく、民間もそうなんです。「うちは小さな会社だからこれしかできない」などと言って狭めてしまいます。

みんなで手をとりあって、みんなで話す機会をつくることこそが、物事の捉え方や生き方の幅を広げる気がします。一人でやろうとしないでみんなでやろうよということが大事で、つまりは、雑談から始まるわけですよね。小さな実験をプライベートな時間を使いながらやっていく。全国に通じる普遍性があるとしたらそうしたことではないでしょうか。

課題を解決したくなる人のモチベーションに火をつける

自治体がまちに若い人を呼び寄せたいときには補助金を出すという発想になりがち。それよりも新しい挑戦の環境やチャンスを打ち出すことのほうが大事、と三好さんは考えます。

相澤 行政の場合は、マクロなところからデータをとらえてきますが、ミクロな生活実感や、そのまちで商売をしている人たちからの声の吸い上げのルートが一定になっているのも課題の一つですね。それらを埋めていくのが、三好さんがおっしゃる雑談であり、課題の捉え方の見誤りを防ぐことにつながるのではないかと思います。

三好 人で言えばコンプレックスを出しましょう、ということではないでしょうか。

今、全国のあちこちで自治体が、移住・定住の促進事業を行なっています。行政は、人口減少により若い人がそのまちにいないことが問題であるとすると、若い人を集めたいからバンバン補助金を出すという施策に陥りがちです。それがエスカレートすると、補助金がほしい人が集まるようになってきます。つまり、補助金がほしい、何も挑戦しない「くれくれ星人」の若者が集まるんですよ(笑)。

例えば新たな問題が出てきたとして、それを解決しようとする人が必要ならば、補助金を用意する施策が必要なのか、ということです。新しい挑戦ができる環境やチャンスがあることが大事なんですよ。私が鉄筋コンクリート製の長屋に惹かれて熱海に来たように、「こういうことに困っているんですよ」と自己認知して、さらに自己開示して、自分では解決できない苦手なことに対して、得意な人と組み合わせていく。コンプレックスや課題そのものを出せる関係性の方が大事なんじゃないかと思います。

熱海には、人と人の間をつないで取り持つ存在がいて、私のように課題解決に挑戦したい人が入って来られる環境がありました。人の心に火をつけること、それが最大の課題解決なのです。実際に動くのはそれぞれ個人なので、最大のモチベーションを持って関われる環境や状況をいかにチャンスとして与えられるのか。それを誘発する何かの動きが必要なのではないかと思います。

写真=堀篭宏幸

(前編了)

Information

マチモリ不動産
https://machimori-fudosan.jp/
〒413-0014 静岡県熱海市渚町5-4 大舘ビル204号室
TEL:0557-83-1551

プロフィール
相澤 毅(あいざわ つよし)

株式会社plan-A代表取締役、合同会社plan-A TOYAMA代表社員。Project Designer、Innovation Booster。大手生活ブランド勤務を経てから前職ではデベロッパーにて社長室に所属し不動産開発から海外事業におけるスキーム構築・広報PR・販売戦略・広告クリエイティブ・ブランディング・新規事業企画・商品開発・人材育成制度構築・産学連携など手がけてきたが、2018年5月に独立起業。今は不動産事業者や大手家電メーカーのコンサル、企業の事業開発参画、不動産開発事業、場のプロデュース、拠点運営、自治体とのまちづくりや創業支援、企業の取締役や顧問、NPO法人の理事等を手がけ、多様な働き方を実践している。

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