プライム ライフ テクノロジーズ

Vol.06

対話で紡がれる産官学連携によるまちづくり

こんにちは。株式会社plan-Aの相澤です。
前職のディベロッパーにおいて開発事業を中心にまちづくりプロジェクトに多数携わり、現在も横浜など複数の地域でまちづくり活動を推進しています。それらの経験を基に、まちづくりについて第三者の視点でコラムを書かせていただきます。

「産官学連携」によるまちづくり

前回のコラムでは「住宅地開発」を「官民連携」にて地域で実現させていった事例を取り上げました。特に地方における住宅地開発を「持続可能」なものにしていく為には、地域と共に進める官民連携が今後欠かせない要素になっていくだろう、という内容でした。

今回は、同じ住宅地開発でも「産官学連携」でまちづくりを推進していくことについて書いていければと思います。

官民連携でも難易度が高いのに、産官学だなんて・・・と感じる方もいらっしゃるかもしれません。その気持ち、とてもよくわかります。なんとなく関係者も多そうだし・・・と感じますしね。

もしかすると、もう少し身近なところをイメージしてみると良いかもしれません。例えば大学がある地域において、学生が提案する商品を小売店などで販売することもありますよね。さらには行政課題に対する課題解決アイデアを学生が考え、行政と実践したりする取り組み等を目にする機会もあると思います。

これらの取り組みは、個別に見れば「小さな実績」かもしれませんし、一見それぞれがバラバラに見えるかもしれません。しかしそれらの取り組みの根底にあるのは「その地域における課題」を「一緒に解決していく」という姿勢と言えるのではないでしょうか。このような取り組みがあらゆる領域同士の連携という形になり、その形のひとつが「産官学連携」になるのだと思います。

つまり、その地域における課題を様々な領域の人たちと連携して解決していく方法を探り、形にしていくまちづくりアクションである、と言えると思います。

「都心から1時間なのに、人口が停滞しているまち」

「都心から1時間なのに、人口が停滞しているまち」。これは埼玉県久喜市にある南栗橋という地域における大きな課題でした。

南栗橋駅は、東武スカイツリーラインや半蔵門線等の始発駅であり、都心の大手町まで1時間ほどで着けるという立地にあります。都心勤務の方にとって始発駅から通勤できるというのは魅力的ではないでしょうか。しかし、埼玉県久喜市が位置する埼玉県北部エリアは、全般的に人口が減少し、特に若い世代が少なくなっていっているという状況にありました。

これは都心からの距離も含めて諸条件が近しい地域における共通課題であるかもしれません。一定規模以上の都市から一定の距離感で離れた地域にも同じような課題感が横たわっていることは想像に難くありません。

南栗橋においては、その課題解決に向けて【久喜市】【東武鉄道】【早稲田大学 小野田弘士研究室】【イオン】【トヨタホーム】の5者が連携し、各々の強みを活かしたまちづくりを推進することが決まっていきました。

BLP南栗橋という開発プロジェクト

この5者連携にて生み出されたまちが「BLP南栗橋」です。
実際にBLP南栗橋を訪れてみると、5者それぞれが、この地域に住みたいと思ってもらうには何が足りないのかを真剣に考え、施策を打ってきたことがよくわかります。まさに「ここでなければならない」理由をしっかり、そして丁寧に構築してきた、と言えるでしょう。

この地域に求められる要素は何なのか。それはこの地域でのどんな暮らし方としてイメージされ、どの課題を解決できるのか。例えば「隣接公園にて火が使えるバーベキュー場を整備」することや、「商業施設の設置」、それに伴う「用途地域の変更」や「保育園の設置」など、打たれた施策はさすが5者連携だけあって多岐に渡ります。

それらの施策内容を、5者が勝手に決めたのでしょうか。もちろんそんなはずはありません。ここの進め方に、このプロジェクトの醍醐味が隠されていました。

これだけの大規模な開発では、近隣住民への開発説明は難易度が高くなる傾向があります。
しかし、説明においては住民説明会などの「一括説明方式」ではなく「個別訪問による対話」を重視。そうした丁寧な対応を推進したことがそのまちに必要な要素の抽出に繋がり、地域住民のニーズと事業計画の合致に結びついたのだと考えます。その結果、新旧住民による自然な交流を育み、そこに住まう「居心地の良さ」を生み出しているのではないでしょうか。

まさに「そこに住まう人たちの視点」に立ち、そこにいる人たちの想いを大切にし、南栗橋という地域での暮らしを丁寧にデザインしていったと言えます。

BLP南栗橋メインエントランス
地区計画制定エリアならではの豊かな街並み
まちに付加価値をもたらした遊歩道の整備
用途地域変更を経て設置された商業施設

産学官連携によるまちづくりで求められる「バランス」

このような産官学連携によるまちづくりにおいて求められる大きな要素に「バランス」があります。BLP南栗橋では、行政主導というわけでもなく、民間が勝手に利己的な開発をやっていくだけでもなく、5者間でのコミュニケーションの総量を増やし、対話を経てお互いの専門領域へのリスペクトを素地とした信頼関係を構築していくことで、そのバランス感覚を醸成していったと言えるでしょう。

その考え方や取り組む姿勢が、近隣住民にも受け入れられ、新たに住まう人たちにも選択され、課題であった「若い世代を中心とした人口の増加」という結果に結びついたのだと考えます。

住まう人たちから見れば、「そこに住む」ことを「選択する」というのは人生最大の決断かもしれません。そのことに対し、立場や専門領域の違いを超え、膝を突き合わせ、共に真摯に向き合う姿勢こそが、産官学連携によるまちづくりの真骨頂のように思います。

プロフィール
相澤 毅(あいざわ つよし)

株式会社plan-A代表取締役、合同会社plan-A TOYAMA代表社員。Project Designer、Innovation Booster。大手生活ブランド勤務を経てから前職ではデベロッパーにて社長室に所属し不動産開発から海外事業におけるスキーム構築・広報PR・販売戦略・広告クリエイティブ・ブランディング・新規事業企画・商品開発・人材育成制度構築・産学連携など手がけてきたが、2018年5月に独立起業。今は不動産事業者や大手家電メーカーのコンサル、企業の事業開発参画、不動産開発事業、場のプロデュース、拠点運営、自治体とのまちづくりや創業支援、企業の取締役や顧問、NPO法人の理事等を手がけ、多様な働き方を実践している。

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