ASMACI神戸新長田インタビュー 02
言語聴覚士 / 経営本部 広報ご担当
服巻さま はい、結論から言うと今回の病院移転は、メリットがすごく大きかったと思います。
私は言語聴覚士として患者さまのリハビリテーションを担当しながら、広報担当も兼任しています。
新病院建設の話が出たのは約10年前でしたが、理事長が病院建て替えについていろいろと調べている中でプライム ライフ テクノロジーズグループのミサワホームさんとのご縁ができ、複合施設を建てることが決まりました。
一般的に病院の建て替えをする際は同じ地区内で行うことが多いでしょうが、私たちは兵庫区から長田区に移転をし、さらに病院名も変わるという特殊な状況でした。
どうやったら病院の知名度を上げ、患者さんにご来院いただけるのか、ということに関してほとんどアイデアがなく、手探りで広報の仕方を学んでいましたが、パートナーであるミサワホームさんがあらゆる場面で支援をしてくれたので、本当にありがたかったです。
たとえば、建設中の仮囲いにも一輝会の病院がここに建ちますよ、というシートを掲示してくれていたので、荻原記念病院という整形外科がこの地に来るんだということを近隣住民の方にあらかじめ知っていただくことができました。病院が他のエリアに新築移転をするとなると患者層や患者さんの居住区も変わってくるため、知名度ダウンが悩みのはずなのですが、その不安はミサワさんのおかげで一気に払しょくされました。
ASMACI神戸新長田は、1~5階が病院、6階〜14階が住居フロアのマンションという珍しい複合施設です。ミサワさんはこのマンション住民の方々や近隣住民の方々を「将来の患者さん候補」と捉えて、近隣住民の方々とどのように関わっていったらいいのか、などを一緒に考えてくれました。
オーバルパークという庭の使い方や、マンション住民と病院がインターホンでつながる仕組み、近隣住民と一緒に行うイベントの開催などは、私たちだけでは絶対に考えられないアイデアだと思います。
服巻さま はい、移転前は病院の老朽化やコロナ禍における問題が山積していて、職員が少し疲弊していたような状況でした。移転後は働く環境が大きく改善され、組織風土やスタッフの考え方が前向きになってきたと感じています。
実は病院の公式Instagramを私が管理者として運営しているのですが、バレンタインやひな祭り、セラピー犬が来てくれた様子など、意識的にやわらかめの内容を投稿するようにしています。
今はどこの病院もスタッフ不足に悩まされているでしょうが、ありがたいことに荻原記念病院では、「Instagramをきっかけに病院のことを知りました」という方が就職面接に来てくださるなど、こんな雰囲気の病院だったら就職したい、と思っていただくことができているようです。
また、リクルート目的だけでなく、こういったやわらかい投稿をすることで、入院されている患者のご家族にも、うちの家族は病院でこういうことをやっているんだな、ということを知っていただくことができるため、好評をいただいています。
最近はうちの病院のよいところをSNSで打ち出していこう、こういう地域イベントをやってみようなどのアイデアが出て、それが承認されるといういいサイクルが生まれています。
病院がきれいになったことにより組織風土がよくなり、医療のことばかり考えていた頭が少しやわらかくなったことでいいアイデアが浮かんでくるようになった気がします。
服巻さま 病院が関わるイベントというのは、たとえば高齢者の集まりに病院関係者が呼ばれて認知症予防について話をしてほしいと頼まれるとか、依頼があって初めて動く、というのが一般的です。
でも、新病院になってからは、老若男女を問わずいろいろな人に、私たちが企画したイベントに参加してもらう、ということができるようになりました。
移転後にHITOTOWAさんという会社にお手伝いをしていただきながら、計6回地域イベントを実施していますが、「病院がいかに地域とつながっていくか」ということを体現できているので、手前味噌ながらいいイベントになっていると思います。
たとえば、来院されたことのない近隣住民の方々は、病院名は知っていても建物に入られたことはありません。そういった方々にはイベント時に1階の庭からリハビリ室に入ってもらうことで、「もし病気になったらここでお世話になろうかな」と思っていただくことができます。
病院を知り、興味をお持ちいただくためには、ただ内覧会を開催するのではなく、防災イベントなどを交えて院内に足を運んでいただくことが効果的です。地域とのつながりを強く持ちたいと考えられている病院関係者の方がいらっしゃったら、ぜひ地域イベントを病院主体で開催することをおすすめします。
先日の防災イベントには近隣住民の方に加えて入院患者の方にもご参加いただきましたが、震災の話を聞いてみんなで涙を流し、しっかりと震災対策をしていこう、と決意を新たにすることができました。
体にいいレシピを教えます、認知症予防の話をしますという話だけではなく、病院っぽくなくて面白いね、と住民に喜んでもらえるイベントを企画するのは楽しいですよ。
服巻さま 荻原記念病院にはオーバルパークというリハビリに使える庭があるのですが、ミサワさんと一緒に設計を考える際に、この庭は地域の皆さまとつながるコミュニティ形成の場にしたいね、という話になりました。
そこで、近隣住民の方々にも犬の散歩などで自由に入っていただけるような設計にして、入院患者さんと近隣の方がふれあえるようにしたんです。
当院でリハビリをされる患者さんの7割の方が自宅へ退院していきます。病院に長く入院していると、家での生活から離れてしまうので、実生活イメージが湧きづらくなってしまいがちですが、お庭を通じて地域にふれることは、退院後の生活のイメージを作り上げていくきっかけとなっています。
たとえば、お庭に咲いている花を触る、地域の方が散歩している犬に話しかける、もっと応用的なことでいえば、電車に乗る、スーパーに買い物に行って、何かとぶつかってしまった際によろけない体づくりをしましょう、というように、お庭を通じて地域とふれあい、実際にお家や地域をイメージしながら患者さんそれぞれのリハビリプログラムを組んでいます。
人は少しでも障害を負ってしまうと外に出たくない、人に見られたくない、という思いから引きこもってしまいがちです。でも、入院患者以外の方が庭にいるとなると、杖を持った姿ではなくシャキッとした姿を見せたいなど、自分でよくなろうという意欲が湧いてきたりします。
そういう点でも、近隣の方々とふれあうことができるオーバルパークを作ってよかったな、と思います。
服巻さま はい、病院経営という点ではとても順調です。
入院が主体の病院なので、リハビリが必要な入院患者さんが救急病院で治療をした後にやってこられることも多いです。私たちは、患者さんがどういうリハビリを行って退院されていったか、ということを救急病院の医療連携室へご報告に行っています。
最近はベッドがいっぱいで入院をお待ちいただくことが増えています。患者さんやご家族から荻原記念病院に待ってでも入りたいと言ってくださっているとお聞きしてとてもありがたい話だと思いました。
また、ミサワさんと一緒に住居と病院の複合施設を建てたメリットはとても大きいです。
ミサワさんがしっかりとした広報をしてくださったので、その動きに乗りながら活動することができました。マンション住民からも「下に病院があるマンションが一番安心よね。だから買ったの」というお話をよくお聞きしますし、実際に診察などでよくご来院いただいています。
一般的に病院には「何かがあってから来る」患者さんが多いでしょうが、マンションの下に病院があることで「未病の段階から病気を予防する」という観点で病院を利用していただけていることは大きいと思います。
大きな病気になる前に小さな時点で潰していくことは医療費削減につながるため厚労省も推奨しています。病院と住民が近いことで自分たちの役割と使命が明確になりますし、この仕組みが日本全国に広がっていけばいいと思っています。
最近はニュースにもなっていますが、建築資材高騰で建て替え予定のあった近隣病院の建て替えプロジェクトが何年も先に延びたりと、大変なことになっているようです。私たちはミサワさんのおかげで期限内にしっかりと建ちましたが、病院の人間だけで病院を建て替えていたらこんなふうにはならなかったはずです。
いろいろな業者さんとつないでくれたり、こちらの要望にも応えてくれたりもしましたし、建物がおしゃれで外観がとてもきれい。お庭もきれいで大満足です。
もし建て替えを検討している病院があれば、「マンションとの複合施設をぜひ建てるべき。病院側のメリットはとてもあります。早めにミサワさんに相談した方がいいですよ」と大きな声でアドバイスしたいですね(笑)。
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